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地方自治体の自然エネルギー政策に関する世界白書

(2009年9月25日付草案)

日本語版 要旨

都市や地方自治体は地域での自然エネルギー促進のため、重要な役割を担うことができる。地方自治体は、 意思決定者として、計画策定者として、自治体内の社会基盤(インフラ)の管理者として、そして市民とビジネスの模範として多様な役割を担っている。こうした役割は、現在進行中である自然エネルギーへのグローバルな移行にとってきわめて重要である。

この世界白書は、自然エネルギーを促進するための、世界中の都市や地方自治体による政策と取り組みの概要を示している。ヨーロッパ、米国、中南米、オーストラリア、ニュージーランド、中国、韓国、および日本の180都市と自治体の政策を取り上げ、さらに、政策の詳細と共に45都市の事例を紹介している。この白書からは、自治体の政策や取り組みが如何に重要であるかが読み取れるが、殆どの人はこの事実を認識していない。

この白書は、自然エネルギー政策には多様な手法があることを明らかにする。また、地方自治体の政策は5つの主要項目へと分類される。5つの項目とは、(1)目標設定、(2)法的責任と権限に基づく規制、(3)地方自治体によるインフラの管理、(4)自主的取り組みと自治体の規範としての役割、(5)情報キャンペーン普及啓発である。

もっとも一般的な政策のタイプは、目標設定である。自治体レベルの自然エネルギー推進を行っているほぼ全ての都市で、何らかの自然エネルギーや二酸化炭素削減の目標を設定している。180の都市および地方自治体のうち、少なくとも140の都市/自治体は、何らかの自然エネルギーまたは二酸化炭素についての将来目標を定めている。

その他の一般的な政策は、自然エネルギーを取り入れた都市計画である。180の都市と地方自治体の中の少なくとも半分は、自然エネルギーを採り入れた何らかの都市計画を策定している。近年登場した政策の中には、建物の建築基準や許認可に自然エネルギーを組込んでいるものがある。180の都市と地方自治体の中で、少なくとも35の都市/自治体は、自然エネルギーを組込んだ何らかの建築基準や許認可政策を策定している。

自然エネルギーを地方自治体のインフラと業務に採り入れるためには多くの方法がある。多くの都市が、自治体の建物や業務にグリーン電力を購入することを決定している。自治体用の車両 や公共交通車両にバイオ燃料を購入している都市もある。多くの都市では、自治体の建物、学校 、その他公共施設に自然エネルギーを設置するように投資している。180の都市と地方自治体のなかでは、少なくとも90の都市/自治体が、地方自治のインフラと運用に関する政策を有している。

多くの都市では、自然エネルギー推進の自主的な取り組みを行っており、民間セクターやその他の団体の模範となっている。デモンストレーション・プロジェクトは大変一般的である。エンド・ユーザーが自然エネルギーを設置するための助成や補助金、貸し付けは、特定の国や地域では非常に一般的で、180の都市と地方自治体の中の少なくとも50の都市/自治体がこの政策を持っている。その他の自主的な行動として、政府投資ファンドや民間及びコミュニティのイニシアチブを支援及び促進する様々な手法も含まれる。都市の中には、バイオ燃料スタンドへの公的アクセスやバイオ燃料の流通を支援しているところもある。

情報提供及び推進活動は、多岐に渡る。180の都市と地方自治体の多くが行っている取り組みには、公共メディア・キャンペーンとプログラムがある。啓蒙活動と受賞制度、ステークホルダーの組織化、フォーラム及び活動団体、研修プログラム、地元のステークホルダーによる融資のアクセス有効化、自然エネルギー潜在量の分析、情報センター、デモンストレーション・プロジェクの支援などである。

国際、地域、国、州/地方レベルのエネルギー政策と気候政策が、地方自治体の自然エネルギー政策や取り組みに与える影響は近年大きくなってきている。例えば、気候変動に関する国際的な議論に参加する地方自治体が増えている。国家レベルでは、都市と自治体によるグループが、時には国のイニシアチブを通じて集まり、拡大し、計画し、共同の行動を取っている。

目次

  1. 自然エネルギーのための地域による取り組みの展望(4P)
  2. 自然エネルギーに対する国際的、地域的、国家的な影響(6P)
  3. 自然エネルギーを推進する自治体政策と取り組みの種類(9P)
  4. 世界における地域自然エネルギー政策の調査(11P)
  5. 40都市の自治体政策の概要(21P)
  6. 今後の調査について(52P)

共同執筆

  • 21世紀のための自然エネルギー政策ネットワーク(REN21)
  • 環境エネルギー政策研究所(ISEP)
  • イクレイ―持続可能性をめざす自治体協議会(ICLEI)

この白書は、自然エネルギーを推進するための、都市と地方自治体による政策と取り組みの詳細な情報を提供し、REN21発刊の世界自然エネルギー白書を補完するものである。これは地方自治体間の対話を促し、今後の政策と取り組みへの道筋を示すことを目的としている。この「草案」版では、コメントと追加情報を募りたい。なお、この草案の情報は必ずしも完全あるいは正確なものではない。

免責事項:
本世界白書における見解は、REN21や他の連携団体のポジションを反映したものではない。本世界白書の情報は、作成時に著者らが有する最善のものであるが、REN21とネットワーク参加者たちが、情報の精度と正確性の責任を負うものではない。

 

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